除草剤

みかんではグリホサート系とグルホシネート系をよく聞きます。グリホサート系の除草剤は、その危険性から多くの国で禁止されつつあります。グルホシネートはグリホサートよりも毒性が強く残留基準値も厳しいです日本は高温多雨の環境であるため草木が繁茂しやすく、除草剤の規制が弱まるばかりなのも理解できます。当園では、グリホサート系を苗木の管理に使うことがありましたが、2023年以降は使用していません。

マシン油

機械の潤滑に使われるような油です。物理的に窒息させてカイガラムシなどを減らします。カイガラムシは増えるとみかんの木を枯らします。分泌物にカビが生えてみかんが黒くなります。少ない密度ならば枝ごと切り取って処理します。マシン油は有機JAS認定農薬で削減対象農薬としてはカウントしません。

銅剤

1873年にぶどうに使用されるようになったのが銅の農薬としてしての始まりです。銅は自然界に広く存在し植物にとっても欠かせない要素です。また、食品に残留した場合であっても、その食品を摂取することによって人の健康を損なうおそれがないことが明らかなものとして、有機JAS認定農薬とされています。マンゼブの代わりに使い始めました。

殺虫剤

殺虫剤に分類される農薬は多くが劇物という人への影響も大きい農薬でした。近年は劇物が減ってきており嬉しい限りですが、新たなリスクも生じているのではなかろうかと疑心暗鬼です。薬を使うと環境が撹乱され、今までは問題ない密度で推移していた虫が増えることがあり、それを防ぐために別の薬も同時に使うことがあります。みかんの蜜を吸いに来た虫がみかんに足跡の傷をつけたり、みかんの皮を吸う虫が吸い痕をつけたり、みかんの葉や幹をかじる虫がいたり、いろんな虫が害虫とされています。

マンゼブ

みかんでは黒点病を防ぐため定期的に散布されている農薬です。年間4回の使用が認められています。黒点病のないみかんにつながることから、できるだけ濃く、多くの回数をまくことが常態化しています。私たちも古くからある農薬であるため安全性を信頼しており2023年の途中まで使用していました。アメリカでは、発がん性物質であることが認められており、1990年代に徐々に農薬の使用は減っていったようです。EUでは2021年に人体に悪影響を及ぼす内分泌かく乱物質ということなどを理由に禁止になりました。

ネオニコチノイド系アセタミプリド

EUではミツバチが巣から消える現象が多発しており、その影響の大きさから2018年にネオニコチノイド系農薬三種が使用禁止になりました。この三種の農薬はアメリカや韓国でも禁止されています。みかんで使用するアセタミプリドはネオニコチノイド系の中では比較的環境への影響は少ないとされていますが、とても効き目の強い農薬だと思います。みかんには、ミカンバエというウジが果肉に入ります。卵の産み付けをを防ぐには長期間殺虫剤をまき続けないと難しく、浸透能力のあるアセタミプリドを使うことで産み付けられた後の卵を殺します。耕種的防除をするならば、そもそも1月までみかんを収穫しない。2月になるとウジ入りみかんは腐って落ちるためその後に収穫することでウジを防ぐことができます。ここまででどのくらいの実がロスするのかはわかりません。もしくは、ネットなどで完全に囲ってしまいながらみかんを作るのか。最も合理的で有効な手立てが現状アセタミプリドだと考えています。

防腐剤

近年は高温多湿でみかんが腐りやすくなったと言います。効果が高い防腐剤は劇物です。



平成30年県慣行基準化学合成農薬のべ成分回数23回とは

化学合成農薬から有機農産物JAS規格で使用可能なものを除外した削減対象農薬のみのカウントです。病気を防ぐものを殺菌剤、虫を防ぐものを殺虫剤と分類します。慣行のみかん栽培では、全体で7~10回(5月~9月は月1~2回)、殺虫剤と殺菌剤を何種類か混ぜて散布します。