山と海の豊かさを守ります

山と海はつながっています。豊かな山を守ることが豊かな海を守ることにつながります。

2019年豪雨では、瀬戸内海に生息する日本アワサンゴが大量死しました。海に大量の土砂が流れ込み、太陽光が遮られたことが原因だったそうです。私たちは大雨のたびに安下庄湾が濁るのを知っています。もともと急傾斜地の多い島で、川や道路はコンクリートで固められ、土にしみこんでいた水は川に集められすぐさま海に排水されるようになりました。短期集中的な雨の降り方も増え、土地の保水能力は昔よりも衰えていると思います。それでもなお石垣が多く残る地域でもあるため、土砂が流されるたび、石垣が崩されるたびに、積みなおし、砂利で補強してきました。石垣は水をどこからでも抜くことができるため、大雨で決壊する危険のあるコンクリート擁壁や山のそのままの斜面より、雨に強く土壌を守ることにつながると考えています。また、園地に草を生やし根を伸ばすことで、流されにくい土壌をつくっています。

人体に対する毒性は低くても魚毒性の強い農薬があります。農薬は必要最小限にとどめ、雨で流出することを避けなればなりません。真偽は定かではありませんが農薬で魚が減ったという話も聞きます。農薬を減らして栽培・販売できるように努めます。



農業体験

食べ物をつくるということを一緒に考えてもらいたいと思います。ただ買うではない、ただ食べるではない、自ら食べ物と向き合うということ。私たちの栽培や想い、みんな自然とともに生きているということを肌から感じてもらいたいです。生きている作物の息遣い、生きている地面、風や匂い。民泊生や近所の子供たちとの芋ほりや野菜の収穫、みかんの収穫体験、畑でのお話、子ども食堂への食材の提供などの取り組みをしています。



共同作業による中山間地域の維持

中山間地域等直接支払交付金は、傾斜等の農業生産条件が不利な中山間地域等において、集落等を単位に、農用地を維持・管理していくための取決め(協定)を締結し、それに従って農業生産活動等を行う場合に、面積に応じて一定額を交付する仕組みです。この事業を使い、仲間とともに水路・農道の管理をしています。桜や梅の木を植えて、多面的機能を増進しています。共同作業でのつながりを、情報交換などに役立てています。自園地に限らず管理することで、次世代の人材に受け渡せる中山間地域を維持しています。


地域の歴史や暮らしの継承

昔の人々は、重機のない時代に、山を切り開いて農地をつくり、石を積んで石垣をつくりました。エンジンのない時代には人力ポンプで農薬をまいていたそうです。竹や草、海の厄介者とされる海藻のアカモクも昔は大切な資源でしたが、安価な化学肥料や石油製品に取って代わられ、その繁殖力から邪魔者扱いされるようになりました。ここ数年で肥料価格は跳ね上がりました。農作物への価格転嫁が進まない場合、もしかすると、草や海藻が重要な肥料として息を吹き返すかもしれません。その他の事柄に関しても、地域の歴史を学ぶことは将来への保険となるはずです。

野菜のつくり方、切り干し大根のつくり方、干し柿のつくり方、みんな地域との交流で学んできました。地域に根差した経験は何物にも代えがたいものです。住んでいる人から直接聞いた話を伝えていきます。