みかんへの約束

農薬の使用可能回数、収穫前日数を確実に守ります。使用期限切れ農薬は使いません。栽培計画をもとに在庫管理を徹底し適切な量を購入し使用します。適用のない農薬は使いません。同一成分でも適用のない農薬は安く入手できるものがあります。試験の有無からくる価格差なのだと思います。農薬を河川などに流すことはしません。

廃棄物を適切に処理します。肥料袋、農薬の容器、タイヤなどを埋め立て、野焼き、山や畑への投棄はしません。不要になった機械などを投棄しません。

みかんを仕入れることはしません。自身で栽培したみかんのみを上妻みかん園のみかんとして販売します。


つくりたいみかんがあります

昔から台風が来て潮が上がったときはみかんがおいしくなると言われています。積極的に潮をあてるために安下庄湾の海水を散布しています。

元気な木をつくるため、有機肥料や魚エキスを使用しています。これらの肥料に含まれる豊富なアミノ酸は、土壌微生物の活動で分解され吸収されますが、一部は、根や葉から直接吸収され、コクのある美味しいみかんをつくります。また、アミノ酸は、土壌微生物の活動を旺盛にして、土壌の団粒化を促進し植物の生育を助けます。しかしながら、肥料を運び込むという行為であったり、頻繁に起こる豪雨による流亡問題など、肥料を使うことに違和感を感じ、肥料はできる限り減らしていきたいと考えています。

病気や害虫は可能な限り手で取り除きます。影響力の少ない密度であれば病害虫は存在しても構わないと考えているため、農薬はあまり使いません。少ない農薬でも効果をあげられるように、風通しの良い園地づくりを心がけています。草は、機械や農薬で殲滅することはなく、根や微生物、動物の動きで土を耕してもらいます。(身近な農薬について)

他にも、剪定や、肥料・農薬の時期、適地適作になるような品種の選び方など、試行錯誤しながら、よりよいみかん、よりよい農業を目指して、頑張っています。



みかんの収穫

みかんをはさみでひとつひとつ収穫します。収穫後にみかんに残された軸がほかのみかんを傷つけないように軸は短く切ります。一度で仕上げるのは難しく二度切りと言って、一度切りやすい位置で切って軸が長いままのものを、その後手元で軸を短く切りなおすという手順を踏みます。温州みかんはへたから落ちにくいため、台風で傷つくことはあっても、へたから落ちてしまうことはありません。みかんを引っ張って収穫しようとすると、熟れているみかんはへたごと皮が破れてしまうため、はさみを使った収穫が好ましいです。軸を短く切ったみかんは、収穫かごから運搬用のコンテナに移され、倉庫まで運搬されます。


みかんは転がしません

<一般的なみかん>

みかんを移せば移すほど、ひとつずつ持ち上げて移すわけにはいかないため、入れ物を傾けてみかんを転がす必要が出てきます。収穫かごから運搬用コンテナへ、運搬用コンテナから貯蔵用の棚へ、貯蔵用の棚から運搬用コンテナへ移してから選果機へ、選果機から運搬用コンテナへ移してから共同の選果場へ、選果場から段ボールへ。みかんは出荷されるまでだけでもいろんなところへ移されていきます。

選果機では、投入されたみかんは、回転するローラーの上を通ることでぐるぐると回りながら動きます。ひとつひとつを持って表面を調べる手間が省け、多くのみかんを同時にチェックすることができます。そして、みかんはサイズごとの大きさの穴が開いた筒の上を通り、小さいサイズから順番に選果機から落ちていきます。最後に残るのが一番大きなサイズのみかんです。筒の内部に落ちたみかんはそのまま段ボールやコンテナなどの入れ物に転がり落ちていきます。共同の選果場では、洗浄やワックスがけ、センサーを使った糖度酸度のチェックなどが追加されて規格分けされます。各農家でも選果機を使うのは、腐敗につながる傷や、見た目やサイズから規格外になるであろうみかんをあらかじめ除く意味があります。そうして何度もチェックされた後に、みかんは市場へと旅立っていきます。

<上妻みかん園>

収穫したみかんを選果機を通すことなく、ひとつひとつ手作業で確認しながら出荷用のみかん箱へ詰めていきます。みかんが転がる機会はほとんどありません。貯蔵する場合も、畑から持ち帰ったコンテナのまま貯蔵するため、みかんを転がす必要はありません。みかんは、衝撃を受けると、果肉が柔らかく傷みが進みやすくなり、甘さや酸っぱさが抜けていくように感じます。収穫されたみかんは生きているため、衝撃で呼吸が盛んになり糖や酸を使った代謝が進むようです。みかんを転がさないことが、防腐剤やワックスに頼らない、有効な傷み・劣化防止だと考えています。私たちが食べているみかんの味をそのままお届けします。



おいしさだけが基準です

<一般的なみかん>

規格には、サイズと見た目があります。見た目には色づきや病気の痕などが考慮されます。近年は非破壊センサーができたので、糖度や酸度まで測ることができ、それも規格に含まれます。非破壊センサーが登場する前は、日当たりなどで畑をランク付けしておいしさを統一する努力がされていたそうです。人気のある規格のものは高く、人気ない規格のものは安く取引されるため、人気ある規格のものをつくることが農家の所得向上につながります。糖度の高いもの、サイズの良好なもの(大きすぎず小さすぎないもの)、見た目がよいものが人気です。

玉太りをよくするための摘果や潅水。見栄えよくするための定期的な農薬散布。色づきをよくするための液肥散布やカラーリング処理。糖度を上げるための肥料やホルモン剤、防水シートでみかんが吸う水を減らす技術。あの手この手で農家は頑張っています。

<上妻みかん園>

みかんは樹上での完熟を基本に考えています。そして、おいしい状態でお届けできるように、貯蔵期間を見極めて出荷します。早い時期の極早生みかんやレモンは採れたて、酸が高いものや皮が厚いものは貯蔵でおいしくします。手が黄色くなるほどみかんを食べている私たちがおいしそうなみかんを選びます。見た目や大きさでは分けません。キズ、模様、形、大きさ、味、いろんな個性を持ったみかんを楽しんでいただきたいと思っています。